飼い主が思うペットの「しあわせ指数」は7点台
ペットオーナーに、自身のペットの幸福度を10点満点で採点してもらったところ、犬オーナーで平均7.45点、猫オーナーで7.39点という結果に。ペットオーナーたちが、満点とはいかなくても、「うちのコはそこそこしあわせ」と思っている様子がうかがえる。
愛犬・愛猫を満足させるコミュニケーション時間とは?
ペットとの親密度を測る尺度でもある、一日に一緒に遊ぶ時間。犬オーナーは「1時間以上」と「1時間未満」がほぼ半々。対して、犬より自立度が高いと見なされている猫の場合は、「1時間未満」が8割も。
動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント
「犬は犬同士の群れの中では1日の5~10%しか、他の犬と遊ばないことがわかっている。つまり、動物行動学の観点からは、1日1時間ぐらい構ってあげれば十分(年齢や個体差はあるが)」
「猫は群れをつくらない動物で、ベタベタした付き合いを好まないと思われがちだが、実は社会性の高い動物で、犬と同じように構ってあげないとストレスが溜まる。1日の大半は寝て過ごすが、起きている間は、声をかけたり、なでたり、ひもでじゃらしてあげたりと、積極的に構ってあげることが大切」
おやつの与え方にみる、誤った愛情行動
食事やおやつタイムは、愛犬・愛猫の喜ぶ顔が見られる絶好の機会。犬オーナーも猫オーナーも、ついフードやおやつを与えてしまうのは、「ねだられた時」と「寂しい思いをさせた時」が圧倒的多数。かわいい顔でねだられたり、寂しい思いをさせたという罪悪感があると、ついつい甘やかしてしまう姿が浮き彫りに。
動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント
「犬も猫も人間の3~5歳時ぐらいの知能があるので、そのくらいの子供に置き換えて考えれば、どうすることがペットにとってしあわせなのか、わかるはず。ペットが欲しがるからと野放図に与えていると、肥満して、いずれは健康を害することに。今はよくても、あとで後悔することになる」
働いた報酬としておやつをもらった方が、しあわせ度がアップ
人とペットが共に快適に暮らしていくためには、しつけは不可欠な要素。にもかかわらず、犬オーナーの68.7%、猫オーナーの76.2%が自身のしつけを「甘め」と回答し、自信のない人が多い。
動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント
「しっかりしつけるといっても、叩いたり、どなったりするのは、ペットのストレスになるだけで効果なし。ごほうびを使って楽しく行うのがトレーニングのコツ。うまくできたら、おやつを一粒与えてほめてあげる。これなら、ペットにとって、しつけの時間が飼い主さんとの楽しいコミュニケーションタイムになる」
ちなみに、しつけのごほうびとしておやつを与えている人は、犬オーナーが47.2%、猫オーナーが14.3%(前述データ参照)。これはとてもいいおやつの与え方だと、入交先生は評価している。
動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント
「心理学でコントラフリーローディング効果と呼ぶが、ゴキブリから人まですべての生き物は、仕事をした報酬でごはんをもらうほうが、ただごはんをもらうより好きということがわかっている。そのほうが脳が活性化して覚えもいい。最近は動物園でも、わざと餌を隠したり、トレーニングを取り入れて、動物たちが考えて働かないと食べられないように、餌の与え方にひと手間かけている」
ペットの犬や猫も、飼い主が遊んであげる時間がとれないときなど、知育トイを利用すれば、遊びながらフードやおやつが食べられ、食べ過ぎも防げる。与え方の工夫次第で、ペットのしあわせ度アップにつながりそうだ。
ペットの幸福度は健康度に比例する
健康でいることは、しあわせのための大切な要件。アンケートの結果からは、犬オーナーも猫オーナーも、健康管理意識が高く、とくに「寄生虫の予防やワクチン接種」や「食事の栄養管理」への関心は高い。
動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント
「ペットの健康のために栄養管理や健康診断は欠かせない。アンケートからは、多くのペットオーナーがその大切さを理解し、実践している姿がうかがえる。健康でいることがペットのしあわせにつながるのは間違いない」
しあわせに黄信号を点滅させる「肥満」
オーナーのペットの健康管理意識は高いとはいえ、愛犬・愛猫の体型については、「ぽっちゃり」と「ややぽっちゃり」と答えた人が、犬オーナーで36.1%、猫オーナーで33.1%。3分の1が肥満もしくはその予備軍であることが判明。ペットの将来に健康不安をもたらし、「しあわせ」に黄信号が点滅しかねない結果に。
動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント
「ぽっちゃりを可愛いと感じるオーナーさんも多いが、肥満は生活習慣病の引き金になる。動物病院の定期検診などで太りすぎを指摘されたら、おやつの与え方に注意したり、ペットフードを見直すなどして、早めにケアを」
獣医師の調査では、肥満ペットのオーナーの約半数は「肥満の自覚がない」とのデータも。オーナーの自己診断以上に肥満はまん延しているので、ペットが太ったかなと思ったら、できるだけ早く動物病院で相談してほしい。
監修:入交眞巳(いりまじり まみ) 先生
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科講師。獣医師。米国獣医行動学専門医。学術博士。動物病院に数年間勤務した後、アメリカに留学。アメリカ・インディアナ州立パデュー大学で博士号取得。ジョージア州立大学獣医学部にて獣医行動学レジデント課程を修了。帰国後、北里大学動物行動学研究室専任講師を経て現職。
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【調査方法】
Petwellのユーザー(犬猫のペットオーナー)に対しインターネット上でアンケートを実施
【調査期間】
2014年2月
【有効回答者数】
403件
【調査主】
日本ヒルズ・コルゲート株式会社(http://www.hills.co.jp/) Petwell(ペットウェル)