日本のペットの幸福度調査~動物行動学者が読み解く、日本のペットライフ~

日本ヒルズ・コルゲート株式会社(本社:東京都千代田区)と、ペットの健康ケア情報を発信するWEBサイトPetwell(ペットウェル)は、犬・猫のペットオーナー(計403名)を対象に、「日本のペットの幸福度調査」を共同で実施しました。その調査結果を、「動物愛護週間(9/20~9/26)」にちなんで発表いたします。調査結果については、動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生にもお話を伺いましたので、合わせてご報告いたします。

2014年9月1日RSSRSS

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飼い主が思うペットの「しあわせ指数」は7点台

ペットオーナーに、自身のペットの幸福度を10点満点で採点してもらったところ、犬オーナーで平均7.45点、猫オーナーで7.39点という結果に。ペットオーナーたちが、満点とはいかなくても、「うちのコはそこそこしあわせ」と思っている様子がうかがえる。

愛犬・愛猫を満足させるコミュニケーション時間とは?

ペットとの親密度を測る尺度でもある、一日に一緒に遊ぶ時間。犬オーナーは「1時間以上」と「1時間未満」がほぼ半々。対して、犬より自立度が高いと見なされている猫の場合は、「1時間未満」が8割も。

動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント

「犬は犬同士の群れの中では1日の5~10%しか、他の犬と遊ばないことがわかっている。つまり、動物行動学の観点からは、1日1時間ぐらい構ってあげれば十分(年齢や個体差はあるが)」
「猫は群れをつくらない動物で、ベタベタした付き合いを好まないと思われがちだが、実は社会性の高い動物で、犬と同じように構ってあげないとストレスが溜まる。1日の大半は寝て過ごすが、起きている間は、声をかけたり、なでたり、ひもでじゃらしてあげたりと、積極的に構ってあげることが大切」

おやつの与え方にみる、誤った愛情行動

食事やおやつタイムは、愛犬・愛猫の喜ぶ顔が見られる絶好の機会。犬オーナーも猫オーナーも、ついフードやおやつを与えてしまうのは、「ねだられた時」と「寂しい思いをさせた時」が圧倒的多数。かわいい顔でねだられたり、寂しい思いをさせたという罪悪感があると、ついつい甘やかしてしまう姿が浮き彫りに

動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント

「犬も猫も人間の3~5歳時ぐらいの知能があるので、そのくらいの子供に置き換えて考えれば、どうすることがペットにとってしあわせなのか、わかるはず。ペットが欲しがるからと野放図に与えていると、肥満して、いずれは健康を害することに。今はよくても、あとで後悔することになる」

働いた報酬としておやつをもらった方が、しあわせ度がアップ

人とペットが共に快適に暮らしていくためには、しつけは不可欠な要素。にもかかわらず、犬オーナーの68.7%、猫オーナーの76.2%が自身のしつけを「甘め」と回答し、自信のない人が多い。

動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント

「しっかりしつけるといっても、叩いたり、どなったりするのは、ペットのストレスになるだけで効果なし。ごほうびを使って楽しく行うのがトレーニングのコツ。うまくできたら、おやつを一粒与えてほめてあげる。これなら、ペットにとって、しつけの時間が飼い主さんとの楽しいコミュニケーションタイムになる」

ちなみに、しつけのごほうびとしておやつを与えている人は、犬オーナーが47.2%、猫オーナーが14.3%(前述データ参照)。これはとてもいいおやつの与え方だと、入交先生は評価している。

動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント

「心理学でコントラフリーローディング効果と呼ぶが、ゴキブリから人まですべての生き物は、仕事をした報酬でごはんをもらうほうが、ただごはんをもらうより好きということがわかっている。そのほうが脳が活性化して覚えもいい。最近は動物園でも、わざと餌を隠したり、トレーニングを取り入れて、動物たちが考えて働かないと食べられないように、餌の与え方にひと手間かけている」

ペットの犬や猫も、飼い主が遊んであげる時間がとれないときなど、知育トイを利用すれば、遊びながらフードやおやつが食べられ、食べ過ぎも防げる。与え方の工夫次第で、ペットのしあわせ度アップにつながりそうだ。

ペットの幸福度は健康度に比例する

健康でいることは、しあわせのための大切な要件。アンケートの結果からは、犬オーナーも猫オーナーも、健康管理意識が高く、とくに「寄生虫の予防やワクチン接種」や「食事の栄養管理」への関心は高い

動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント

「ペットの健康のために栄養管理や健康診断は欠かせない。アンケートからは、多くのペットオーナーがその大切さを理解し、実践している姿がうかがえる。健康でいることがペットのしあわせにつながるのは間違いない」

しあわせに黄信号を点滅させる「肥満」

オーナーのペットの健康管理意識は高いとはいえ、愛犬・愛猫の体型については、「ぽっちゃり」と「ややぽっちゃり」と答えた人が、犬オーナーで36.1%、猫オーナーで33.1%。3分の1が肥満もしくはその予備軍であることが判明。ペットの将来に健康不安をもたらし、「しあわせ」に黄信号が点滅しかねない結果に。

動物行動学者(獣医師)入交眞巳先生のコメント

「ぽっちゃりを可愛いと感じるオーナーさんも多いが、肥満は生活習慣病の引き金になる。動物病院の定期検診などで太りすぎを指摘されたら、おやつの与え方に注意したり、ペットフードを見直すなどして、早めにケアを」

獣医師の調査では、肥満ペットのオーナーの約半数は「肥満の自覚がない」とのデータも。オーナーの自己診断以上に肥満はまん延しているので、ペットが太ったかなと思ったら、できるだけ早く動物病院で相談してほしい。

監修:入交眞巳(いりまじり まみ) 先生

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科講師。獣医師。米国獣医行動学専門医。学術博士。動物病院に数年間勤務した後、アメリカに留学。アメリカ・インディアナ州立パデュー大学で博士号取得。ジョージア州立大学獣医学部にて獣医行動学レジデント課程を修了。帰国後、北里大学動物行動学研究室専任講師を経て現職。

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【調査方法】

Petwellのユーザー(犬猫のペットオーナー)に対しインターネット上でアンケートを実施

【調査期間】

2014年2月

【有効回答者数】

403件

【調査主】

日本ヒルズ・コルゲート株式会社(http://www.hills.co.jp/) Petwell(ペットウェル)

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