猫の横隔膜ヘルニア
横隔膜ヘルニアとは、胸腔(きょうくう:肋骨や胸骨などに守られている胸部の空間で、心臓や肺が納まっている)と腹腔(ふくくう:腹部にある空間で、胃腸や肝臓、腎臓などの臓器が納まっている)とを隔てている横隔膜が裂けて、腹部の臓器が胸腔内に入り込んでしまう病気です。横隔膜ヘルニアを起こすと、呼吸困難や運動をしたがらないといった循環呼吸器系の症状や、嘔吐、下痢といった消化器系の症状を起こすことがあります。
更新日:2010年 04月 27日
下痢をする
吐く(嘔吐)
発育が遅れている(発育不良)
息が荒い(呼吸が苦しそう)
食欲がない
体重が落ちる
動くのを嫌がる
猫の横隔膜ヘルニアの【症状】原因や症状によって様々な症状が見られる
横隔膜ヘルニアの症状は、その原因やヘルニアの大きさ、入り込んでいる臓器の種類や程度によって様々です。ほとんど無症状のこともあれば、呼吸が浅く苦しそうだったり、元気がなくじっとうずくまっていることが多いといった循環呼吸器系の症状を示す場合や、食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛といった消化器系の症状を示す場合があります。また、肝臓が胸部に入りこんだ場合は、肝障害を起こしたり、神経症状が見られたりすることもあります。
横隔膜ヘルニアは、その状態や原因によって次の種類にわけられます。
- 外傷性横隔膜ヘルニア
事故などによる外傷で後天的に横隔膜が裂けてしまったもの - 腹膜心膜横隔膜ヘルニア
先天的に心臓を包む膜(心膜)が腹腔とつながってしまったもの - 食道裂孔ヘルニア
横隔膜の中で食道が通る孔(食道裂孔:しょくどうれっこう)に異常があり、そこから腹部の食道や胃の一部が胸腔内に入り込んでしまうもの
外傷性横隔膜ヘルニアでは、傷を負った直後にショック症状(可視粘膜の蒼白化ないしチアノーゼ、頻呼吸、頻拍など)が見られることがあります。ショックに耐えて生き残った猫が何らかの理由で治療されなかった場合には、上記の症状や体重減少が認められます。
先天性の腹膜心膜横隔膜ヘルニアでは、普段は特に目立った症状が見られないこともあれば、時折、上記のような症状が出てきたり、発育不良が見られたりすることがあります。
食道裂孔ヘルニアでは、ごはんを食べるときに痛がったり、吐出(としゅつ:食べたものをそのまま吐き出すこと)したりといった、食道炎や巨大食道症の症状がおもに見られます。
猫の横隔膜ヘルニアの【原因】交通事故や転落事故などによる外傷、先天性の形成不全などが原因に
外傷性横隔膜ヘルニアは、その名の通り、交通事故や転落事故といった外傷が原因で起こります。
先天性の腹膜心膜横隔膜ヘルニアは、遺伝子異常などにより、生まれつき心臓を包む膜(心膜)と横隔膜の形成が不完全となってしまうことが原因と考えられています。このヘルニアは、長毛種の猫やヒマラヤンに多く見られます。
食道裂孔ヘルニアの原因は、先天的なものと外傷によるものがありますが、品種に特異的なものではなく、様々な猫種に見られます。
猫の横隔膜ヘルニアの【治療】状態や原因に応じて外科的手術や内科的治療などを行う
外傷性横隔膜ヘルニアでは、外傷直後でショック状態を示している場合や、重篤な症状を起こしている場合には、猫の状態を安定させることが最優先となります。ある程度、状態が安定したあと、胸腔内に入り込んだ臓器を元の位置にもどし、裂けた横隔膜を修復する外科手術を行います。ただし、時間がかなり経過し、横隔膜ヘルニアの目立った症状があまり見られないものでは、経過観察となることもあります。
先天性の腹膜心膜横隔膜ヘルニアでは、ヘルニア部分が小さく症状がない場合や、高齢で偶然見つかった場合などは、手術せずに経過観察や内科的治療を行うことがあります。しかし、年齢が若く、ヘルニア部分が大きかったり、症状が重かったりする猫では外科手術が適応となります。
先天性裂孔ヘルニアで吐出や嘔吐、嚥下時の痛みといった食道炎や巨大食道症の症状を示すものであれば、まず、これらの症状に対する内科的治療を行います。内科的治療に反応しない場合には外科手術が推奨されています。
猫の横隔膜ヘルニアの【予防】室内飼いを徹底して事故を未然に防ぐ
外傷性横隔膜ヘルニアを予防するには、室内飼いを徹底して、原因となる交通事故や転落事故を防ぐことが大切です。先天性のものであれば、予防はできませんが、この病気は遺伝子異常に関係することもあるため、罹患している猫を繁殖させないことが推奨されます。
猫が外から帰ってきて、じっとうずくまって息苦しそうにしていたり、様子がどこかおかしいと感じたりしたら、すぐに動物病院で検査を受けましょう。
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