愛犬がもし要介護になったら…プロの「老犬介護サービス」に学ぶ

ペットの長寿化が進み、寝たきりや認知症になる犬も増えています。要介護の愛犬を抱えていると、日々の世話も大変だし、心配で外出もままなりません。最近、そんな飼い主さんをサポートしてくれる老犬介護サービスが充実してきています。どんなサービスが受けられるのか、また自宅で介護する場合の注意点や、今は元気だけど将来に向けて準備すべきことなど、老犬介護の専門家の立場から、ペットケアサービスLet’s代表の三浦さん・伊藤さんにアドバイスをいただきました。

2014年1月16日RSSRSS

【取材協力】
三浦裕子さん・伊藤みのりさん
(ペットケアサービスLet’s  http://lets-pet.com/

犬のデイケアサービス(老犬介護・リハビリテーション)、パピートレーニング、問題行動改善)など、さまざまなサービスで飼い主さんと愛犬の暮らしをサポート。いち早く2002年から老犬介護に取り組み、老犬のケアができる人材不足に直面したため、人材の育成にも力を注いでいる。著書に「7歳からのシニア犬とのしあわせな暮らし方(大泉書店)」「4歳からはじめる愛犬の健康生活習慣(ナツメ社)」がある。

老犬介護サービスとは?

自分の犬なのに人に預けるなんて…とサポートを受けることを罪悪視する向きもありますが、飼い主さんにも生活があるし仕事もある。頑張りすぎてご自身の体が悲鳴を上げている方も少なくありません。愛犬に優しくするには多少距離が必要なこともあります。そのために、安心してケアを委ねられる場所が「老犬介護サービス」だと考えています。
訪問介護でもデイケアでも、愛犬の状態に合わせて使い分けていただけたらと思います。
どんな施設においても、サービスを利用する際は必ず事前に施設を訪れて、愛犬が過ごすスペースを実際に目で見て、安心して愛犬を預けられるかどうかを確認してください。

9月から動物愛護法の改正で終生飼養が徹底されました。そのため、老犬ホームが、あたかも終生飼養の新たな受け皿のように紹介されることが多いのですが、それは違うとLet’sでは考えています。飼い主であることを放棄せずに頑張っている飼い主さんを助けて、終生飼養を全うできるようお手伝いするのが私たちのスタンスです。

お世話の内容は、ヘルニアなどの病気のリハビリや、筋トレ、床ずれなどの介護まで、ケースバイケース。Let’sでは初回に必ず1時間程度のカウンセリングを行い、飼い主さんがどうしたいのか、愛犬にどうなってほしいのかをお聞きし、そのために必要なことや手助けできることをご提案しています。

飼い主さんからの相談が多いのは、こんなトラブル

自力歩行ができない

自力で歩けないため、トイレに行けない、水を飲めない、倒れてケガをする。ひとりでお留守をさせられないので、サポートを求められるケース。

床ずれ

床ずれの原因は体の一部が長時間圧迫されて、その部分の血流が悪くなりできてしまいます。床ずれの予防に数時間ごとに寝返りをうたせないと・・・と頑張りすぎて睡眠不足になってしまう飼い主さんもいます。 床ずれの予防には、頻繁に寝返りをさせなくても低反発マットを使って、寝ている間の血流をスムーズにさせてあげるのも良い方法です。

夜鳴き

夜鳴きは認知症と考えがちですが、計算してやっている犬も結構います。どこかが痛い、不快なところがある、イライラするなどの原因で、鳴けば来てくれる生活からわがままになっている可能性があります。体の不快を取ってあげても鳴いている場合は、鳴いても来ないことを犬に知らせることも大切です。

排泄の失敗

認知症ではなく、体の衰えから排泄が間に合わなかったり、踏ん張りきれず尻餅をついて汚してしまうケースも多いです。その場合は筋トレで回復することもあります。自力での排泄が難しくなったら、おむつの利用も効果的。おむつをつけたら、かわいい、いい子だね!とほめること。おむつに排泄できたらまたほめる。パピートレーニングと同じです。

後退ができない・クルクル回る

後退やUターンができないのも、視力や筋力の衰えからだったり、体型の変形からクルクル旋回してしまっているのかもしれません。認知症が疑われる症状の大半は、実は体の機能の衰えからきていて、意識はしっかりしていることも多いのです。

獣医師とのつき合い方

獣医師に的確な治療とケアを望むなら、まず飼い主さんの話し方が重要です。
愛犬が飼い主さんに対して今まで噛むような事は無かったのに、噛むようになってきたら、事前にいろんなところを触ってみて、噛むポイントがあるかチェックしておく。夜鳴きなら、どんな時にどんなふうに鳴くかを細かく観察する。そのうえで「こんな時に噛みます」「こんなふうに夜鳴きをします」と具体的に伝えれば、獣医師もポイントを押さえた診察ができます。また積極的な治療を望むのか、温存してケアしていくのか、飼い主さんの希望を明確に伝えることも大切です。

介護を助けるアイテムも使い方次第

車イス

価格も安くなり普及してきましたが、間違った使い方も多いです。車イスを使うことがリハビリとなり、車イスを卒業できることもあれば、リハビリを続ければ回復するのに、車イスに頼り切りで足を動かさなかったために、完全に歩けなくなってしまうケースも。正しい目的意識をもって使わないと逆効果になります。また、その犬に合った車イスでないと倒れたりして危険ですので、製造している所に直接行って相談するのが一番です。メンテナンス、修理、金額、返品の可否などもよく確認してください。

カート

寝たきりや立てない犬の移動に便利。歩けるなら、コンクリートの道はカートで、土の上は運動のために歩かせるなど、使い分けるといいですね。

ハーネス

使いこなすのが意外と難しいアイテムです。サイズ選びも難しく、力のベクトルを間違えると、背骨がずれたりして犬にとって危険。飼い主さんも中腰で支えるのは大変で、ハーネスでのお散歩はハードルが高いです。上手に使いこなしている人は、持ち手を長くするなど市販品に手を加えています。ただし家の中での移動や寝返りの介助には便利です。

おむつ

人用のおむつにしっぽ穴を開けて使うのが便利でリーズナブル、長時間つけても不快感が少ないです。犬用はしっぽ穴が大きく尻尾の周りは吸収体がないため、漏れてしまうことがありますが、人用は際まで吸収体が入っていて、ゆるいうんちも吸収してくれます。大型犬なら高齢者用のおむつと尿取りパッドの併用。小型犬には生理用ナプキンとマナーベルトで。男のコは、うんちはおむつ、おしっこはナプキンや尿取りパッドとマナーベルトのW使いがおすすめです。

介護が必要にならないための準備を

介護が必要になったときの準備ではなく、介護が必要にならないための準備こそ大切です。最後まで自力で歩ければ、困ることはほとんどありません。そのために必要なのが筋肉の維持。腹筋があれば、排泄のコントロールができるし、全身にバランスよく筋肉がついていれば、骨に直接負担がかからず、節々の痛みも改善できる。もし寝たきりになっても、筋肉がクッションになって床ずれができにくくなります。

もう年だからと諦めず、お散歩を筋トレの場に変えましょう。老化が進むと、後ろ足が上がらなくなったり、立ち上がる、跨ぐなどの動作ができなくなってきます。そこで、坂道をゆっくり上る、土・砂の上をゆっくり歩くなどの方法で、後ろ股を鍛えましょう。ダックスなら、お座布団を畳んで跨がせるのもいいトレーニングです。ジャンプすると筋トレにならないので、おやつなどを使ってゆっくり歩かせるのがコツ。足の下を匍匐前進のようにくぐらせるのもいい方法です。

筋トレをしていると、遊びで気持ちが高揚したり、また平常心に戻ったりと感情のコントロールができるようになります。認知症予防にもつながるので、ぜひ日常生活に取り入れてください。

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