犬の世界にも、高齢化社会が進行中?
飼い犬の約半数が「7歳以上」のシニア世代
平成24年度の「全国犬猫飼育実態調査」(一般社団法人ペットフード協会調べ)によれば、犬の平均寿命は13.9歳、大型犬より寿命の長い小型犬では、15歳以上も珍しくない時代です。また、7歳以上の犬は50.4%、10歳以上は26.4%を占めています。現在の日本の60歳以上人口が30%ですから、犬の世界も人と同様、着々と高齢化が進んでいるようです。
犬の「高齢」は何歳から?
ところで、犬の「高齢」って何歳から? 一般に「7歳以上」が高齢期とされ、ドッグフードも、7歳からを「シニア用」とするメーカーがほとんどです。しかし、実際には「7歳はまだまだ若い」が飼い主さんの実感ではないでしょうか。
犬の7歳は、人で言えば44~45歳、犬の平均寿命からみても “犬生”まだ半ばです。獣医師の間でも「小型犬の7歳は中年。本格的な老化は11~12歳(人で言えば60歳)頃から」というのが一般的な見解のようです。
ただし、7歳が体に変化が訪れる、健康上の大きな節目であることも事実。犬の高齢期の健康管理は、「7歳から」と、老化が本格化する「10歳を過ぎてから」とに分けて考える必要がありそうです。
7歳頃からは、「肥満予防」が一番の健康課題
なぜ太る?
7歳からの高齢期の入口は、基礎代謝が急激に低下してきて、太りやすくなる時期です。人が中年太りに悩むのと同様、「肥満予防」が一番の健康課題に。基礎代謝とは、生命維持のために最低限必要なエネルギーのことで、じっとしていても消費されていくものです。基礎代謝が低下するということは、これまでと同じだけ食べていると、肥満しかねないということです。
肥満はさまざまな生活習慣病の引き金
肥満が怖いのは、関節疾患、心臓疾患、糖尿病、腫瘍など、高齢期に増加するさまざまな生活習慣病の引き金となるからです。ここで愛犬を肥満させないことが、この後、高齢期を長く健康に過ごしていくための第一関門と言えるでしょう。
摂取カロリーを抑え、基礎代謝を上げる
肥満を防ぐには、まずおやつを控えたり、シニア用の低カロリーフードに切り替えるなどして、摂取カロリーを抑えること。同時に、適度な運動によって筋肉をつけることも大切です。基礎代謝の40%は筋肉で消費されるので、筋肉をつければ基礎代謝がアップし、太りにくい体がつくれます。ただし、すでに肥満している犬に激しい運動は厳禁。まず食事制限で体重を落としてからにしましょう。(編集部)
プロに聞く「7歳からのケア」のポイント!
7歳からはシニアの準備期間、体重管理を中心に、悪いところが出てくる前に備えたいもの。この時期のケアについて、ホリスティックケア・カウンセラーの青根未佳さんがお答えします!
Q.ホリスティックケアって、どんなもの?
「お薬反対」なケアと誤解されがちですが、ホリスティックケアは、必要であればお薬も使いながら、そのコにベストな方法を探しましょうという考え方です。例えば、すごく痛いときに、効き目の緩やかなサプリメントを使っていくより、お薬で早く痛みを鎮めてあげたほうが、そのコもハッピーだと思うんです。その代わりお薬で負担のかかる肝臓のケアを、サプリメントやハーブでサポートしていきませんか、というスタンスです。
Q.肥満予防のための「食事の見直し」ポイントとは?
食事の見直しをするときは、原材料に注目! カロリーの低いフードを選んでいるのに太ってしまう場合は、中身が問題かもしれません。糖質は、脂肪として体に蓄積されやすいので、糖質を多く含む炭水化物の割合の低いもの。そして、低脂肪かつ良質なタンパク質を含むものがおすすめです。良質とは、犬が消化・吸収しやすい動物性タンパク質です。
Q.つらくないダイエットの方法を教えて!
減らすことだけがダイエットではありませんので、楽しみを増やしてあげることを心がけてみましょう。例えば食事量を減らす場合は、与える回数を増やしてみたり、フードを1粒ずつ手から与え、食べている時間を増やしてみるなど。また、水を加えれば、摂取カロリーはそのままでカサを増やすことも出来ます。食事の他にもおもちゃで遊ぶ時間、お散歩の時間を増やしてあげるのも良いですね。ただし運動量に関しては、太りすぎている子の場合、足腰への負担も考慮しなければいけませんのでほどほどに。
Q.シニア期の健康維持におすすめのサプリメントって?
意識して摂りたいのは、オメガ3脂肪酸。酸化しやすい性質がありますが、アマニなどの植物性オイルなら飼い主さんと一緒に使えて早く消費できるのでお勧めです。ただし、植物性オイルのαリノレン酸は、体内でDHAやEPAに変換する必要があり、消化機能が衰えてくる10歳以降では、より動物性オイルが望ましいです。一番のおすすめはサーモンオイルです。