被災地の犬、強いストレスを受けていたことが明らかに

麻布大学獣医学部では、2011年より被災地から犬を譲り受け、健康管理と行動面のケアを行い、犬たちを里親へ譲渡する活動をしてきた。その犬たちの状態を、ホルモン分泌と行動の側面から科学的に解析したところ、被災地以外の犬と比べて、ストレスホルモンであるコルチゾール値が5-10倍高いとともに、学習能力と愛着行動の低下が認められ、過度のストレスを経験していたことが明らかとなった。

2012年10月16日RSSRSS

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麻布大学獣医学部動物応用科学科では、動物トレーニング実習において、飼い主から遺棄された犬を保護施設から引き取り、トレーニングを施して里親に譲渡する活動を行ってきた。2011年度からは、3月11日の震災発生を受け、被災地から犬をできるだけ多く受け入れ、新しい家庭へと譲渡している。

引き取った当初は心身共に震災の影響を受けていた犬たちも、適切な管理を介して健康を取り戻し、多くの犬が里親に譲渡された。その過程で、被災地から引き取った犬と、震災前に神奈川県の保護施設から引き取った犬の実習期間中における、ストレスの指標である尿中のコルチゾール値と行動特性を調べた。

その結果、被災地から引き取った犬では、震災前に引き取った犬よりも尿中コルチゾール値が5から10倍高く、また学習能力や愛着行動が低下していることがわかった。これらのことから、被災地からの犬は非常に強いストレスを経験していたことが明らかとなった。この結果はイギリスの科学誌ScientificReports(2012年10月11日付け)に発表されている。

【発表者】

  • 茂木 一孝(麻布大学 獣医学部動物応用科学科 准教授)
  • 永澤 美保(麻布大学 獣医学部動物応用科学科 特任助教)
  • 菊水 健史(麻布大学 獣医学部動物応用科学科 教授)

麻布大学 プレスリリース:「被災地の犬は強いストレスを受けていた」

麻布大学

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