【症状】歯ぐきからの出血や口臭など。進行すると歯がぐらつきだす
歯周病は歯肉炎から始まり、歯肉(歯ぐき)が赤く腫れ、固いものを咬んだり、おもちゃでじゃれて遊んだりしたときに、歯ぐきから出血が見られることがあります。また、口臭が目立つようにもなりますが、歯肉炎では歯はまだしっかりして、ぐらついたりする様子はありません。
歯肉炎が進行して歯周炎にまでなると、口臭がさらにきつくなり、ちょっとしたことで歯ぐきから出血が見られるようになります。放っておくと歯周ポケット(炎症で健康な歯肉が歯から剥がれ、歯と歯ぐきの間にできる溝)がどんどん深くなり、それとともに歯周組織が次々に破壊され、歯がぐらぐらして、ときに抜け落ちてしまうことがあります。
【原因】歯垢に潜む細菌が増殖し、歯肉炎から歯周炎へ
歯周病は、歯垢の中や歯周ポケットの中に潜む細菌が原因とされています。この細菌や、細菌が出す毒素などによって歯肉に炎症が起こります。歯垢を放っておくと、石灰化して歯石となり、さらに歯垢がつきやすくなります。その結果、細菌が増殖し、歯肉だけでなく歯周組織にまで炎症が波及し、歯周病が悪化していきます。歯周病はどのような猫にでも起こりますが、腎臓病や糖尿病などの慢性疾患、あるいは猫白血病ウイルス(FeLV)感染症や猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)などの感染症によって免疫力が低下していると、悪化しやすい傾向があります。
【治療】歯周炎の場合は、全身麻酔による歯垢・歯石除去が必要
歯ぐきに炎症が起こるだけの歯肉炎の場合、軽度であれば口腔洗浄剤で口腔内を清潔に保ち、日々のブラッシングで歯垢を除去し、必要に応じて抗生剤や抗炎症剤などを投与します。歯肉炎が重度であったり、歯周炎を引き起こしている場合は、動物病院で全身麻酔をしたうえで歯垢・歯石を取り除き、歯周ポケットにたまった汚れや炎症を起こした組織などを取り除きます。歯のぐらつきがひどい場合には抜歯することもあります。また、歯科処置後は必要に応じて抗生剤や抗炎症剤の投与を行いますが、再発防止のためには、飼い主の行う日常の手入れが最も重要です。
【予防】
普段から歯磨きを行い、歯垢がたまらないようにする
歯周病の予防は、日々歯磨きを行い、歯垢が歯にたまらないようにすることが何より大切です。ガーゼや綿棒、猫用歯ブラシ、または小児用などの小さな歯ブラシなどに猫用歯磨き剤を用いて行います。また、口腔内を清潔に保つため、口腔洗浄剤を用いるのも効果的です。
「猫の歯周病」のポイント
近年は、歯石の蓄積を軽減するキャットフードやおやつ、そして、様々なデンタルグッズなどが市販されています。これらを組み合わせながら、毎日の歯磨きを行うようにしましょう。