犬と猫たちの専門医療

「専門医療」が受けられる動物病院とは？

１.大学の附属動物病院

それでは、もしペットが高度な治療が必要な病気になったとき、どこに行けば専門医療が受けられるのでしょうか？
まず挙げられるのが大学の附属動物病院です（下表参照）。診療科目が細かく分かれ、それぞれの分野のスペシャリストが診療にあたっています。ただし、人の大学病院と同様、緊急を要する症例、高度な医療設備や技術が必要な症例が優先されるため、原則として、かかりつけ医からの紹介が必要な「二次診療」が主体となります。

全国の大学附属動物病院

病院名	住所
北海道大学　大学院獣医学研究科附属動物病院	北海道札幌市北区北18条西9丁目
帯広畜産大学　動物医療センター	北海道帯広市稲田町西2線11番地
酪農学園大学　附属動物病院	北海道江別市文京台緑町582番地
北里大学　獣医学部附属動物病院	青森県十和田市東二十三番町35-1
岩手大学　動物病院	岩手県盛岡市上田3-18-8
東京大学　動物医療センター	東京都文京区弥生1-1-1
東京農工大学　動物医療センター	東京都府中市幸町3-5-8
日本獣医生命科学大学　動物医療センター	東京都武蔵野市境南町1-7-1
麻布大学　附属動物病院	神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71
ANMEC　日本大学動物病院	神奈川県藤沢市亀井野1866
岐阜大学　動物病院	岐阜県岐阜市柳戸1-1
大阪府立大学　獣医臨床センター	大阪府泉佐野市りんくう往来北1番地の58
鳥取大学　農学部附属動物医療センター	鳥取県鳥取市湖山町南4丁目101
山口大学　動物医療センター	山口県山口市吉田1677-1
宮崎大学　農学部附属動物病院	宮崎県宮崎市学園木花台西1-1
鹿児島大学　農学部附属動物病院	鹿児島県鹿児島市郡元1-21-24

 

２.かかりつけ医からの紹介のみを扱う「二次診療専門病院」

また、地域のセンター病院の役割を担う民間の高度医療施設も増えてきています。一般開業病院（かかりつけ医）と提携し、そこから紹介される二次診療のみを扱っている病院です。大学の附属病院同様、最新の医療設備を備え、大学などで専門疾患に関する臨床・研究に携わってきた獣医師が検査・診療にあたっています。

二次診療専門病院の例

病院名	住所
JARMeC　日本動物高度医療センター	神奈川県川崎市高津区久地2丁目5番8号
DVMs　どうぶつ医療センター横浜	神奈川県横浜市都筑区川向町966-5
日本小動物医療センター	埼玉県所沢市中富南2丁目27-4
ネオベッツ	大阪市東成区中道3-8-11 NKビル2F

 

その他、個人の開業動物病院でも、CTやMRIなどの最新設備を導入し、積極的に高度医療に取り組むところも出てきています。

３.院長がその分野のスペシャリストである「単科専門病院」

「皮膚科」「眼科」など、単科診療のみの専門病院もあります。院長がその分野で実績のあるスペシャリストであることが多く、地域の他院からの紹介を積極的に受け入れたり、他院への出張診療に協力しているケースもみられます。

４.かかりつけ医だが、「得意診療科目」がある

一般開業医（かかりつけ医）で基本的に全科診療ですが、そのなかでとくに注力する診療科目を掲げている病院です。院長もしくはスタッフ獣医師が、その分野の「認定医」資格を取得していることが多いです。

５.かかりつけ医だが、専門医による「特別診療」を行っている

一般開業医（かかりつけ医）のなかには、定期的に「特別診療日」（眼科特別診療、腫瘍科特別診療など）を設け、自院の患者さんに、その分野の専門医による診察が受けられる機会を用意しているところがあります。
認定医の資格をもつスペシャリスト獣医師のなかには、複数の動物病院で特別診療を担当しているケースもみられます。また、高度な医療知識と技術の習得に向けて、専門医を招いて、自院のスタッフ医師を対象に勉強会を行っている病院も増えています。

まずは信頼できる「かかりつけ医」をもつこと

このように、飼い主さんが高度な専門医療を望めば、それに応える体制は少しずつではありますが、整ってきています。病院のホームページなどでも、力を入れている診療科目や取得している資格などの情報が掲載されていますから、病院選びの参考になると思います。

しかし、ペットにいきなり専門医療が必要になるケースはまれです。大切なのは、まず信頼できるかかりつけ医をもつこと。良いかかりつけ医なら、専門医療のできるネットワークをもっているので、自院で検査や治療が無理なら、患者を囲い込まず、適切な病院へとつないでくれます。
いざというときに、飼い主さんがどこまでの治療を望むかによって、適切な選択肢を提示してくれる獣医師が良いかかりつけ医といえるでしょう。