猫などから感染するジフテリア様の人畜共通感染症に注意

人も動物も共通して感染する恐れのある人畜共通感染症(ズーノーシス)の原因菌のひとつ「コリネバクテリウム・ウルセランス」による症例が徐々に見られるようになったとして、厚生労働省が注意を促している。

2009年8月24日RSSRSS

コリネバクテリウム・ウルセランス(以下、ウルセランス菌)とは細菌の一種で、中にはジフテリア毒素と似た毒素を産生するものがあることが知られている。病初期は発熱、鼻汁などのいわゆる「風邪」のような症状を示し、その後、咽頭痛、咳などの症状が始まり、扁桃や咽頭などに偽膜(膜のようなもの)が形成されるといった症状が現れる。さらに、急激な気道狭窄を示す症例も報告されている。

国内では、ウルセランス菌に感染している猫などとの接触、または飛沫による感染が強く疑われる事例が報告されている。2009年1月にも、くしゃみ、鼻汁などの風邪らしき症状を示す野良猫の世話をしていた50代の女性に急性鼻咽頭炎などの症状が現れ、女性及び猫を調べたところ、同じ遺伝子タイプのウルセランス菌が見つかった。

なお、ウルセランス菌の人から人への明らかな感染事例の報告はまだなく、治療にはジフテリア菌と同様に抗毒素、抗菌剤療法が有効だ。

飼っている猫などが咳やくしゃみ、鼻汁などの風邪のような症状、皮膚炎、皮膚や粘膜潰瘍などを示している時は、早めに獣医師の診察を受けるようにするのが望ましい。また、こうした猫などに触る場合は手袋やマスクをし、触ったあとは手洗いなどを励行すること。

さらに、外見上無症状の動物でもウルセランス菌を保有している場合もあるので、同菌だけでなく、一般的な感染症予防のためにも、日頃から動物を触ったあとは手洗いなどを確実に行うように心がけたい。

コリネバクテリウム・ウルセランスによるジフテリア様症状を呈する感染症患者に関する情報について(PDF)

国立感染症研究所 Corynebacterium ulceransとジフテリア

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