猫の病気事典 > テーマ別の病気

猫のウイルス感染症とは? 予防ワクチンや治療法など

猫も人と同じくウイルスに感染し、病気になることがあります。日頃からワクチンをきちんと接種していれば予防できるものもありますが、なかにはワクチンが未開発のウイルスや、感染すると治療が難しく、命にかかわるような危険なウイルスもあります。ここでは猫のウイルス感染症について、まとめてご紹介します。

2009年 03月 12日

猫のウイルス感染症はワクチンで予防できるもの、そうでないものがあります。

猫のウイルス感染症には、予防や治療の難しい、命にかかわるものが少なくありません。そのなかで代表的なものが、一般に「猫エイズ」といわれる猫免疫不全ウイルス(FIV)や、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)猫白血病ウイルス(FeLV)です。

猫エイズウイルス(猫免疫不全ウイルス:FIV)は、感染猫の唾液などにひそむウイルスが、未感染猫の傷口などから体内に入って感染します。比較的長い潜伏期間(約4~5年、子猫の場合は5~6年)のあと、発症すると体の免疫機能に打撃を与え、さまざまな細菌感染やがん(悪性腫瘍)を併発し、ついには「宿主」の命をうばいます。もっとも、猫エイズウイルス(猫免疫不全ウイルス:FIV)は感染力が弱いため、陽性の猫との濃厚な接触がない限り、感染する可能性はありません。

猫白血病ウイルス(FeLV)は、感染猫の唾液などにひそみ、母猫と子猫のなめあい、食器の共用、猫どうしのケンカなどによってほかの猫に感染します。主に骨髄に入って白血球や赤血球の造血作用に悪影響をおよぼし、免疫力の低下や貧血などで命をむしばんでいきます。特に生後間もない猫に感染すれば、ほとんど助かりません。さいわいにも近年ワクチンが開発され、ワクチンを接種する猫たちが増え始めています。しかし、ワクチン自体の知名度がまだ低いことや、3種混合ワクチンを接種するケースが多いことなどから、まだ、猫白血病(FeLV)の発症数が減るまでには至っていません。

猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)は、通常、腸炎などを起こすコロナウイルスの一種が感染猫から未感染の猫に感染します。その後、感染猫の体内で突然変異を起こして猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)となり、お腹や胸の血管で激烈な炎症を起こしたり(ウェットタイプ)、脳神経細胞や肝臓、腎臓などに炎症を起こして(ドライタイプ)命をうばいます。現在、ワクチンは開発中で有効な予防手段はありません。

これらの予防や治療が困難な感染症は、感染するとウイルスを根治する方法がなく、症状の進行を抑えるための対症療法が中心になります。例えば猫エイズ(猫免疫不全ウイルス:FIV)の場合は、エイズ発症前の無症状キャリア期であれば、口内炎や慢性皮膚炎などのエイズ関連症候群の諸症状を抑えるように努めます。猫白血病ウイルス(FeLV)の場合は、感染1ヵ月前後に発症する急性期であれば、猫の免疫力を高めて自然治癒を目指します。また、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)では、インターフェロンやステロイド剤を投与して、症状の緩和・延命を図ります。

ウイルス感染症から愛猫を守るために、避妊・去勢と室内飼育の徹底を。

有効なワクチンのない猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)や、ワクチンの普及がまだ進んでいない猫白血病(FeLV)猫エイズウイルス(猫免疫不全ウイルス:FIV)から飼い猫を守るには、室内飼育が予防対策の基本となります。といっても、マンションなどの集合住宅ならともかく、戸建て住宅で庭があるような場合、飼い猫の外出を完全に防止するのは困難です。そのため、早めに避妊・去勢手術をおこなって、猫の外出意欲を低下させることが有効となります。避妊・去勢済みであれば、万一、外出してしまった場合でも、野良猫とのケンカや交尾などによる感染機会を減らすことにつながります。

有効なワクチンがある感染症でも、ワクチン接種さえすれば安心というわけではありません。予防ワクチンは、それによって特定の病原性ウイルスに対する体の抵抗力、つまり抗体価を上げて、体内に入ったウイルスをやっつけようというもの。だから、接種回数や個体差などによっては、たとえワクチンを接種していても、抗体価が予防に必要なほど上がらず、悪性ウイルスに感染してしまうことも考えられます。

猫の代表的なワクチンである3種混合ワクチンは、猫風邪の原因となる、「ネコカリシウイルス」と「ネコヘルペスウイルス」、「猫伝染性腸炎(FPV)」の3つのウイルス感染を予防します。費用は動物病院によって異なりますが、3種混合ワクチンで一回6000円前後が一般的な値段のようです。しかし、先述のように、ワクチンは100%の予防効果があるわけではないうえ、ワクチンの効かない感染症もあります。ウイルス感染症から愛猫を守るためには、ワクチンで予防できる感染症はワクチン接種をして予防に努め、さらに避妊・去勢と室内飼育の徹底を図ることが大切といえます。

猫の混合ワクチンの種類と予防できる病気
ワクチンの種類 予防できる病気 ワクチン接種のタイミング
3種混合
ワクチン
猫ウイルス性呼吸器感染症猫カリシウイルス感染症猫伝染性腸炎(猫汎白血球減少症・猫パルボウイルス感染症:FPV) 子猫の場合:生後2ヵ月~3ヵ月の間に1回、その後は年1回が基本

成猫の場合:年1回が基本
4種混合
ワクチン
上記の3種混合ワクチン+猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
5種混合
ワクチン
上記の4種混合ワクチン+猫クラミジア感染症
7種混合
ワクチン
上記の5種混合ワクチン+2つの猫カリシウイルス感染症

※猫カリシウイルス感染症には3つのタイプがあり、いままでの3種~5種混合ワクチンでは1タイプの猫カリシウイルスにのみ有効だったものが、7種混合ワクチンでは3タイプの猫カリシウイルスに有効となります。

猫のウイルス感染症については、以下をご覧ください。

ワクチン接種により予防できるもの

有効なワクチンがまだないもの

ブックマーク:
おすすめ特集
犬の生活習慣病

室内飼育の増加や獣医学の進歩により、犬をとりまく環境が一変するなかで、肥満や心臓病、ガン、糖尿病など、私たちと同じような健康問題を抱える犬が増加して... [続きを読む]

引っ越しによるペットのストレス対策

春は引っ越しのシーズン。誰しも新しい環境に慣れるまでには、少なからず時間とストレスがかかりますが、それはペットも同じこと。「どうすれば転居先に早く慣... [続きを読む]

ペットとお引っ越し【後悔しないためのポイント集】

春は引っ越しのシーズン。人間だけでも大変なのに、ペット連れとなると、「どんな準備が必要?」「移動の手段は?」「愛犬・愛猫は新しい環境に慣れてくれる?... [続きを読む]

ペットと暮らす家庭のお掃除大作戦

部屋全体に漂うペット臭、ソファについた抜け毛、おしっこの染みなど、犬や猫と暮らす家庭は「汚れ」「におい」「抜け毛」に悩まされがち。しかも念入りにお掃... [続きを読む]

犬と猫の基礎栄養学【2】

毎日のペットの食事、どのようにされていますか?食事は健康の基本。正しい「栄養学」の知識を学んで、うちの子の健康を守ってあげたいですね。今回は、普段何... [続きを読む]