猫の泌尿器系の二大疾患をご存知ですか?

2010年10月6日RSSRSS

慢性腎不全 ~高齢猫の死因の第1位~

症状が現れたときには、腎機能の4分の3が失われている

慢性腎不全は、腎臓の機能が数年以上をかけて徐々に低下し、機能不全に陥ってしまう病気です。高齢猫に見られることが非常に多く、老猫の多くがその予備軍といえるでしょう。
腎臓は、体内の老廃物や毒素を尿として排出する働きをしていますが、腎不全が進行すると、それが尿として排出されず体内に蓄積され、危険な尿毒症を引き起こしてしまいます。慢性腎不全が厄介なのは、初期ではほとんど症状が出ないこと。腎機能の4分の3が失われて初めて症状が現れ、この段階で「腎不全」と診断されます。そして、失われた機能は二度と回復することはありません。

「多飲多尿」が慢性腎不全の最初のサイン

慢性腎不全は、「多飲多尿」の症状で気づくことが多いようです。尿を濃縮する働きが低下するため、きちんと濾過されない尿が増え、尿として出て行った水分を補給するために、水をたくさん飲むことになります。
進行すると、水をたくさん飲んでも多尿によって失った水分を補うことができず、脱水を引き起こすようになります。食欲不振や元気消失、体重減少などが見られ、さらに進行すると、嘔吐や下痢、口内炎などの尿毒症症状を示すように。末期には痙攣や昏睡状態に陥ることもあります。

治療は、進行を緩やかにする対症療法

慢性腎不全は進行性の病気で、完治することはありません。したがって、治療は病気の進行を緩やかにし、症状を緩和するための対症療法になります。
比較的初期には、活性炭投与(毒素を吸着して便として排出)や食事療法(腎疾患に配慮した、タンパク質やナトリウムなどを制限した療法食)。進行にともなって、輸液療法(点滴によって、脱水や電解質のバランスを補正)が加わったり、貧血や高血圧などが出てくれば、症状にあわせた投薬も行われます。
治癒することはなくても、早期に発見し、適切な治療ときめ細かな生活管理を行うことで、愛猫は長い間、生きていくことができます。飼い主さんは、腰を落ち着けて、じっくり病気とつき合う覚悟をしてください。

高齢期になれば、定期的な尿検査・血液検査を

慢性腎不全は、加齢にともなう腎機能の低下が主な原因なので、ある程度は避けられない面もありますが、できるだけ発症しにくい生活環境づくりと早期発見を心がけましょう。
慢性腎不全には、老化以外に、他の病気が引き金になることがあります。例えばウイルスや細菌感染による腎疾患や、猫下部尿路疾患から急性腎不全を起こし、それが慢性に移行する場合などです。そのためワクチン接種でウイルス感染症を防いだり、猫下部尿路疾患にならないように注意することも、慢性腎不全予防につながります。
また、食事では塩分の多いものや必要以上に多くのタンパク質を避けること、いつでも新鮮な水を飲めるようにすることなども、腎臓の負担を軽減します。
そして、6~7歳ごろになれば、動物病院で定期的に尿検査・血液検査を受けるようにして、異常を早期に発見するよう心がけましょう。

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