災害時のペット避難対策

東日本大震災では、多くの動物が被災しました。また福島原発事故で警戒区域に取り残された動物も数多くいます。次々と報じられる惨状に、他人事とは思えず、胸をしめつけられる思いをしている飼い主さんも多いことでしょう。
もしあなたが被災したら、飼っているペットをどうすればいいのか、対策を考えていますか? 災害時には冷静な判断ができにくいものです。だからこそ、いざという時に備えて、普段から準備をしておくことが大切です。

2011年9月1日RSSRSS

被災地で展開される「動物救護活動」とは

「緊急災害時動物救援本部」が現地の活動を支援

大規模な災害が起きたとき、被災地での動物救護活動はどのように行われるのでしょうか?
まず被災地では、自治体、地元の獣医師会、愛護団体などが連携して「動物救護本部」を立ち上げます。ここを核にして、被災動物の医療、フードやペット用品などの提供、迷子や負傷動物の保護、避難生活のために同伴が難しくなったペットの一時預かりなどの活動が行われます。

そして、これを支援するのが、「緊急災害時動物救援本部」です。阪神・淡路大震災を契機に発足したもので、3つの動物愛護団体(財団法人日本動物愛護協会/公益社団法人日本動物福祉協会/公益社団法人日本愛玩動物協会)と、社団法人日本獣医師会の計4団体によって組織されています。 同本部では、被災地に設置された「動物救護本部」やその他の団体などに対し、支援物資の輸送や活動資金の供与、必要に応じてボランティア派遣などを行い、現地の救護活動をバックアップします。

これ以外にも、動物愛護関連のNPOや個人ボランティアなどが他府県からも多数被災地に入り、活動を展開します。

自治体の取り組みも徐々に進展

阪神・淡路大震災以降、各自治体では、災害時のペット対策について「地域防災計画」に盛り込んだり、2006年の動物愛護法改正後は、「動物愛護管理推進計画」のなかに、その取り組みを明記するところも出てきています。自治体によっては、具体的なマニュアルを作成したり、ペット同行の災害訓練を行っているところもあります。

また、近年、自治体と地元の獣医師会が、災害時の被災動物の治療や保護に関する役割分担を取り決めた協定を結ぶ動きが広がっています。朝日新聞(2011.2.7 東京朝刊)によれば、2011年1月までに少なくとも8府県・48市区町の計56自治体が締結、東京都・千葉県・高知県などが近く締結を予定しているとのことです(※その後、東京都は3月15日、高知県は4月25日に締結済み)。

獣医師会と協定を結んでいる自治体(2011年7月現在)

【都道府県】
青森県、岩手県、宮城県、山形県、岐阜県、京都府、兵庫県、岡山県、
東京都(3/15締結)、高知県(4/25締結)、千葉県(近々、締結予定)

【市区町村】
宮城:名取市、岩沼市、大崎市、栗原市、石巻市
埼玉:越谷市、蕨市、上尾市
千葉:市川市
東京:中央区、新宿区、墨田区、江東区、品川区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区、三鷹市、昭島市、町田市、日野市、東久留米市、稲城市、西東京市
神奈川:横浜市、相模原市、厚木市、伊勢原市、秦野氏、平塚市
愛知:名古屋市、岡崎市
三重:四日市市、鈴鹿市、津市、名張市、松阪市、志摩市、南伊勢町
福岡:北九州市
※朝日新聞記事をもとに作成

阪神・淡路大震災、三宅島噴火、新潟県中越地震、そして東日本大震災と、災害が起こるたびに、避難所でのペットをめぐるトラブル、ペットと車内で避難生活を送っていた飼い主さんのエコノミー症候群による死亡事故、飼い主さんと引き離された放浪ペットの餓死や野生化…など、被災ペットにまつわる出来事が社会問題化しています。また災害によって、大切な家族であるペットを失ったり、引き離されたりすることで、さらに喪失感や孤立感を深める飼い主さんの「心のケア」の重要性も指摘されるようになりました。
こうした経験を踏まえて、最近、ようやく災害時のペット対策を具体的に検討する自治体が増えてきました。しかし、その取り組みは、地域によって大きな差があることも事実です。
自分たちが暮らしている地域の施策がどうなっているのか、ホームページなどで公開されている「地域防災計画」をチェックしたり、役所に直接問い合わせたりして、確認しておくことも大切でしょう。

では次に、実際に被災したら、ペットを連れてどのように行動したらいいのか考えてみましょう。

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