たかはし みきさん(イラストレーター)

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「こげぱん」「あまぐりちゃん」などのキャラクター原案、文具デザイン、絵本制作を手がけ、現在、フリーのキャラクターデザイナー&イラストレーターとして多彩に活躍する、たかはし みきさんにインタビューしました。

愛犬ソラが亡くなってしばらく後、母が「わたしの母さんが
亡くなった時よりすごくつらいのはなぜ」って。

最初にわが家に犬が来たのは、わたしが7歳の時。小学校のプールの裏でみんなが飼っていた「シロ」を、先生が保健所に連れて行くというので、兄が「僕が飼う」と言って連れてきたんです。でもわたしは恐怖の固まりで、全然懐かなかったです。そのころは今みたいに誰も飼い方の知識がなく、父と母は共働きで散歩もままならず、シロは置き去りでムダぼえも多くて大変でした。結局、シロは3年ぐらいしてフィラリアで死に、それから父が生き物は絶対飼わないと決めました。

でも14年前に母が突然雑種の子犬「ハル」を抱いて帰ってきて、父と言い争いになった時、父が「子犬がかわいいからと拾ってきて、最後までちゃんと飼えるのか、シロのこともあるのに」というのを聞いて、「父さんて、犬が嫌いなワケじゃなかったんだ」と思いました。その後、ハルは父にべったりで、9年前、母はミニチュア・ダックスの子犬「ソラ」を飼い始め、ハルは父、ソラは母、みたいになりながらみんなで楽しく暮らしてきました。

犬を介してしゃべっていて、あ、わたし、父とこんなに近づいたことあったっけ、みたいに家族の距離がぐんと縮まって。

やがて父が退職して実家も田舎に引っ越し、兄に続いてわたしも東京暮らしを始め、仕事や趣味に生きる母に対して、父は、2匹の犬たちと田舎暮らしを満喫。車好きのソラを助手席に乗せて、あちこちドライブに出かけ、これから一緒に旅行でもしようかと車も買い替えた矢先、1年前の冬に、元気だったソラにガンが見つかり、余命半年と宣告されました。

その時、父がお医者さんに「僕の育て方のどこが悪かったんでしょうか」と言うほど自分を責めて落ち込みました。でも、息子と娘は東京でたまに見舞いに来るぐらい。母はおろおろして「お父さんお願い」。それで、父は「おれがソラを見るしかない」と覚悟を決めて、最後まで本当によく面倒を見てくれました。

ちょうどソラが亡くなったのが、この本『ハルとソラとのミニチュアな日々』の原稿を描き上げたころで、最後をどうしようか悩んだけど、泣きながら「その日は突然やってきた…」という結末を描きました。やはり、犬を飼うって、うれしいお迎えと悲しいお別れがセットなんですよね。

このごろ、やっと父も立ち直りつつあり、毎日、ソラに線香をあげて、ソラがいつもいたソファに「ソラ!」って声をかけている。そういうのを聞くと、わたし、だめなんです。

母のほうは、ソラが亡くなった時、意外に平気そうにしていたのが不思議だったのですが、この前、ふと、「わたしの母さんが死んだ時よりすごくつらいのはなぜ」って、つぶやいて、わたし、「…やっぱり」と納得しました。

そんな父と母の姿を見ていて、うちは家族4人で2匹の犬と暮らし、みんな頑張ってソラを看病して見送ったけど、わたしだけで飼うのはまだ無理、ということを学びました。ひとりでお別れするの、耐えられないですね。

(初出:「よみうりペット」2009年1月20日発行号)

たかはし みきさん(イラストレーター)

1975年、千葉県船橋市生まれ。文具メーカーに勤め、「こげぱん」「あまぐりちゃん」などのキャラクター原案、文具デザイン、絵本制作を手がける。2002年よりフリーのキャラクターデザイナー&イラストレーターとして活躍。主な著書に『こげぱんぶらり旅シリーズ』(主婦と生活社)、『まいにちトースト』(技術評論社)など。2008年夏、『ハルとソラとのミニチュアな日々』(幻冬舎コミックス)を上梓。

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